さて、看護業界が本当にブラックかどうかは一旦置いておくとして、現場で働く多くの看護師に職場への不満があるのは当然でしょう。仕事はきつく、精神的ストレスも抱えやすい看護職に離職が目立つことからも何かしらの不満やトラブルが起きていることは間違いないようです。
過去に行われたある調査によれば、自分の給与額や福利厚生制度について不満を持っている看護師が多い、という結果が出ています。それによると、およそ半数の看護師が現在の給与や福利厚生制度に満足していないということになっています。これを見る限りでは、看護師の不満は主に待遇面にあるようにも思えます。また、それに続く項目が「仕事量」や「施設、設備関係」となっているので、「自分の仕事が給料の割に合わない」と感じているようにも見えます。
もちろん、働く上では給与や福利厚生といった部分は需要です。自分のやっていることが給与に見合わないと感じれば、やる気もなくなってしまいます。看護師の給与額は同年代の一般的な企業に比べると高いものですが、その仕事は想像以上にハードでそれでも割に合わないと言われます。やはり、看護師の不満はそういった待遇面に偏ってもおかしくなさそうです。
しかし、実際に看護師の本音を聞いてみると待遇面以外にも様々な不満があることが分かります。
「うちの病院では本来看護師がやってはいけないことまでやらされています。他にも院長の趣味で決めたような変な院内ルールもあって、ついていけません(個人のクリニックにて)」
「私は独身ですが、子供のいる看護師が優遇されているように感じます。家族のいる方は土日なども休める時が多く、正直不公平感を感じてしまいます。仕方のないことだとは分かっていますがどうも納得できなくて…」
「職場に意地の悪い先輩がいていつも新人は泣かされています。少し気に入らないことがあると変にゆがめて師長に報告するので、師長たちもその人の味方です。その人が原因で辞めていった人もいて人間関係が最悪です」
「休日や時間外に行う勉強会や委員会をなんとかしてほしいです。私の所ではそれに出ても何もつきませんし、そのために準備の時間も必要でただでさえ忙しいのに余計手間を取られて本当に嫌になります」
「職場に気の合わない人がいて、その人と夜勤をすることがあるのが苦痛。自分では何もしないのに、トラブルがあると人のせいにして腹が立つ。その人とは組みたくないと言っているのに師長も聞いてくれなくて毎回憂鬱になる」
「仕事が多く、毎日何時間も残業になるのが大変です。日勤なのに帰りが8時や9時ということもあって最悪です。シフトによっては家に帰る暇もないくらいで、もう辞めたくなっています」
それぞれの職場によってもいろいろな不満がありますが、やはり人間関係や勤務のきつさというのはどこにでも共通して聞かれる意見です。先に出たブラック企業にありがちな内容ともかぶる部分もあり単に待遇を改善すれば看護師の不満は減るというものでもないように思えます。