今、看護師の話題というと必ず出てくるのは「離職率」や「仕事のきつさ」といったワードです。少し看護師の仕事について調べればそんな話題が目立っていて、業界的にも重要な話題と思えます。そもそも、看護師の仕事は人の世話をする仕事なのでそう楽な仕事とは言えません。一般の接客業とも違い、対応する相手が病気や怪我の患者ということで精神的な苦労も絶えません。さらに、一歩間違えば人の命にも関わる仕事なので、常に緊張感を持つ必要があります。時々、看護師の経験のある方がいろいろと面白おかしく書いている本やブログもありますが、それを読んでも「やっぱり大変な仕事だなぁ」と思ってしまいます。
そんな状況を反映してか、最近では看護師の仕事についても「ブラック」だと言われるようもなってしまいました。もともと、長時間労働や激務薄給が問題になっているIT業界や飲食業で使われ始めた言葉ですが、看護や介護の仕事でも状況は同じだと思われているようです。実際に看護師の声を聞いてみても「給料が仕事の割に合わない」「残業や時間外の活動が多くて不満だ」といった意見が多く見られ、似たような職場環境であることが分かります。
さらに、看護師は今でもそのほとんどが女性で占められている職業なので、いわゆる「女性の職場」にありがちな問題も大きいようです。その他の女性が多い職場でもスタッフ同士でのいじめや特有の派閥関係があるのは有名な話です。もちろん、女性の多い職場が全てそうではなく、男性ばかりの職場でもそれなりの内情があるものですが、スタッフ構成に偏りがあるのもあまりよくないことのようです。このように、何か問題を抱えた職場では職員のストレスもたまりがちで、余計に人間関係が悪くなり離職率も上がるという悪循環に陥ってしまいます。また、全国的に看護師不足であるため、数多くの看護師の求人が出ているというのも離職率が上がる原因のひとつになっているのかもしれません。職場でのストレス解消のために喫煙率も高くなり、日本看護協会も看護師の喫煙率を抑える活動をしているほどです。
さて、それでは看護師にとっての良い職場環境とはどのようなものでしょうか?人によってもいろいろな答えがあると思いますが、やはり労働条件と人間関係の良さは重要だと思います。看護師の離職理由の上位には必ず「結婚や出産」といった項目が含まれますが、看護師に女性が多いことからも家庭の事情が大きく影響するのは当然でしょう。仕事だけでも十分忙しいのにさらに家事や子育てをするのは大変なことです。家庭を持つ看護師でも無理なく仕事を続けられるような制度づくりも進んでいますが、看護業界全体の労働条件の改善が急がれるところです。
また、離職率を下げるためにも職員のストレスをコントロールする方法や、新人への教育方法でも工夫が進められています。職場の不満がたまればたまるほど人間関係も悪化してしまうのでなるべく職員の負担を減らすようにしなくてはなりません。患者として病院にやってくる方たちが気持ちよく利用できるようにするためにも、看護師の職場環境を改善するのは必要な課題だと言えます。